爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
入って来たのは、千々石リカルド(ちぢわRicardo)。ブラジル(Brazil)から帰化した日系人3世。陸軍少将であり、鎮台随一の精兵「ガスパル西(Gasparにし)」旅団を率いる猛将として知られていた。かつて「我らがローラン」と呼ばれたガリア帝国の将軍ジャン ランヌ(Jean Lannes)の如く兵の模範たる男であったため、「ランヌの再来」と讃えられていた。姓の通り日系人だが、顔立ちは明らかに西欧人のそれであり、しかも所謂ラテンアメリカ人のステレオイメージとは離れ、色白で怜悧さを思わせる切れ長の眼をした北欧風な男である。ミュンヘン生まれのドイツ移民も混じった家系でもあり、本人がそう言わなければ日系人だとは思われない長身の男である。
「おはようございます、将軍。少しはお休みになれましたかな?」
「ミスター・スヤマ、そしてミス・ハスイケ。貴方達の好意には感謝したい。すっかりこの通りだ」
胸を叩く身振りを付けて自身の健在を示すリカルドに、大尉は無言で軽く会釈した。
「将軍が一番乗りですね」
「ああ、こういう時ぐらい一番になりたいからね」
リカルドは屈託なく笑みを浮かべた。この男にはこういう子供じみた感傷を抱く所がある。
「他の方もこちらへ?」
「ああ、先程ジェネラル・コテダとアドミラル・アリマを下の階の廊下で見かけた。間もなくこちらに来られよう」
「そうですか」
大尉は腕時計にチラッと眼をやった。定刻へ秒針が進んで行く。リカルドは自身も会議室の時計を見て、会議の刻限を思い返し、誰に言うでもなく口をついた。
「さて、首相が来たら早速会議だ。…定刻通り始まると良いが」
ハハッ、とリカルドは軽く笑って数時間前まで座っていた席へと歩いて行った。陶山は何も答えず、席へ近付く後ろ姿をつまらなそうに見ていたが、軽く溜息をついて視線を離した。