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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第3章 神戸福原


「ヘブライ(Hebrew)相手の情報源さ。奴は面食いでな。別嬪を見つけるとすぐに仕立てる」

「自分は食わないのか?」

「食わないそうだ。存外淡白でな。累代妾は置かない家なんだとさ」

「名は?」

「ヤシマ。二世ヨイチ。噂に聴かないか?」

「…成る程、人間の屑にも潔癖さはあった訳か」

「ソイツは俺のニホン語教師だ。あんまり悪く言わんでくれ」

 ヨルダンの男、わざとらしく煙草の息を私にかかる様にふっかけ、私が顰め面で煙を払う間に吸い殻を皿へと落とした。

「貴殿、正規兵だったとは思えんな。交友関係に影が有り過ぎる」

「ジャのミチはヘビー、って奴さ」

 ヘビー?…ああ、蛇、か。彼は蛇というより猫だ。少し気紛れが過ぎる。

「請け売りか。しかし、八洲の道は修羅道ぞ」

「シュラドー? 何だそれ?」

 シュラドー、シュラドー?

 この言い回しが気に入った様だが、一々構うつもりはない。

「ああ、いい。今度教えてやる。仏陀(Buddha)の話だ」

「流石にニホン人。ブッダ好きだな」

「日本のコモンセンス(Common Sense)なのは認めよう」

 ヨルダンの男を惜しく思った。貧しさ故に軍隊で暮らす事になり、遂に脚を洗えなくなったこの哀れなる者!
もし、彼が大学へ通えるだけの富裕の子であれば、きっと、きっと多くの学を志す若者達の先達で有り得たであろう。彼の知的な好奇については彼の仲間内でも煙たがられる程であり、そんな男故に、東洋の亡命者であった私に付き纏って知己を得るに至ったのだ。

「幾らだ?」

「金はイラン。君はムスリム、同胞だ。同胞の里帰りだ。心ゆくまで時を費やしてこい。人は一応つけてやる」

「かたじけない」

「カタジケナイ?」

「…あ、ありがとう。そういう意味だ」

 フフッ、と笑うヨルダンの男。私は少し気恥ずかしくて顔を背ける。男は少しニヤついたまま、話を続けた。

「丁度、ここら辺からトンズラしたい奴がいてな。腕は立つ。何でもやれるから使ってみてくれ」

「物騒な奴なのか?」

「ラミズ・カダレ(Ramiz Kadare)。イリュリア人(Illyria)のゲグ族の男。元狙撃兵だ」

「何をやらかした?」
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