爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第3章 神戸福原
「軍隊で上官に逆らって処刑された弟の仇を討った。二年前に殺しをやって軍隊から逃げ出した。その後は放浪の中で共産党の高官共を襲って身包み剥いで日銭を稼いでいた」
血の復讐(Gjakmarrja)。成程、そういう方面にも顔を出し始めたか。つくづく、堕ちる所まで堕ちたんだな。そう思わずにはいられなかった。
「頼もしいだろう? ああ、安心しろ。君の事は知っている。君のクランについての話も知っている。それに憧れたようだ。君自身も尊敬している」
「会ってもいないのに尊敬だと?…まあ、悪い気はしない。裏切って突き出されさえしなければ構わない。十分だ」
「安心したよ。ハマダの港につける材木積みの船が二週間後にマラッカ(Malacca)を通る。話は通しておくから、そこまで行ってくれ。後は船に乗ってしまえばこっちのもんだ」
「随分と簡単なプランだな」
「お得、と言って欲しいな」
ヨルダンの男は笑いを漏らした。だが、すぐに表情を切り替えた。
「覚悟は、いいな?」
「無論。これを待っていたのだ」
そうとも、私、いや俺はこの時を待っていたのだ。
ヨルダンの男は、そうか、とだけ呟いて、暫し黙った。
騒めく周囲を他所に我ら2人は何も語らず、ただ沈黙し、ただ日々を憶う。
「明日、いや明後日だ。皆呼んでくる。盛大に食って、好きなだけ馬鹿をやろう」
「ああ、いつも通りに。無礼講だ」
「ブレイコウ。そう、ブレイコウだ」
ヨルダンの男、遂に意味を問わずして、言葉の真相を掴んだ。
「…ニホン」
「ああ、私の国だ」
「必ず、手にして来い。君のクランのレコードを塗り替えて来い」
「いいだろう。やってやる」
「ナオイエは偉大なる壁だ。だが、越えていける。今生きているのは、君なのだからな」
ありがとう、ヨルダンの友よ。きっと勝ってみせる。偉大なる祖をきっと超えてみせる。
「そして俺をショーグンにしてくれ」
ジェネラルでなく、ショーグン、か。なら俺は…不敬な話だ。
だが、別になってしまえば良いのだ。そうだ。そうだとも!
「良いだろう。貴殿を将軍に任ずる。わが友、トランスヨルダン(Transjordan)の浪人―――――」