• テキストサイズ

爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第2章 屋代島攻防戦


 瞬間の事だった。山頂に脚を掛けたサンジの額が液体らしき何かを吹き出して割れた。

 俺は僅かの時の一部始終を目撃していたが、正直何も言葉が出なかった。

 掲げられる旗、それを持つサンジの身体が後ろ向きに仰け反り、来た道の方角へ転がり落ちる。決して離そうとしない旗は地に接触して泥にまみれ、それを結びつけていた棒は落ちてきた勢いで地に突く様に接触し、サンジの手が離れなかった為に中心から折れた。サンジは死してなお手から離さず、額が割れた状態で事切れていた。

「畜生、あのストーカー野郎っ!」

 身を伏せつつも、赤毛のテッドの怒声が山道に響く。間違いなく、サンジを殺ったのは俺達アメリカ人を追っていたあのストーカーだ。サンジはアメリカ帰りのキュウシュウ軍のエリートだから、アメリカ軍と同じ物を着て戦っていた。だから、殺られた。

 音もなく、額を撃ち割るだけで、奴の姿は何処にもない。周囲の警戒をする俺達に対し、奴は何一つ動いた素振りも見せない。また、逃げられる。

 俺はサンジの方へ近づき、胸元をまさぐった。ショーン ケリーの護衛の任務は見事に失敗した。しかし、せめてドッグ・タグだけは持ち帰ろうと思い、死体の胸をまさぐった。サンジはもう口うるさく、教義の説明を求めたりはしない。それは永劫ない。身体中をまさぐられてなお動かないこの男はもう確かに死んでいるのだ。そう言い聞かせた。死んだ者への処置は機械的なものだが、行為の内側には湧いて出た物も隠されている。故にせめて、と思った時に、手に金属らしき何かを得た。しかし、タグではない。思わぬ大きさに面喰らいつつ、それを引っ張り出した。

 何だ、こいつは…?

 見ればわかるが、手にしたのはロザリオ(rosary)だ。それもかなりアンティークじみたもので、普段サンジが持っている十字架とは違う十字架だ。錆びて、形が風変わりな十字架を見た時、サンジが抱いていた問いの意味が何となく分かった。

 それは、言葉にならない。しかし、分かりはした。

 サンジのロザリオを再び胸元に返す際に、偶然タグを見つけた。それを一枚取り外し、その上でテッドを呼び戻し、這ってこっちに来る赤毛にそれを手渡した。

「上等だ」
/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp