爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第7章 山口 最期の日
眼をおもむろに開き、首相は睨むように大尉を見据えた。
「なら結構です」
大尉は平然と主に述べた。
「んで、どうしよっか?」
「犯人探し。そっから」
首相は確かに落ち着いているようだった。しかし、未だに混乱状態にはあると大尉は思った。
「犯人探しね。そりゃいいんだけど」
「何?」
「先に事実関係おさえておかない?」
「何の意味があるの?」
大尉は少し拍子抜けた顔をした。
「…言い方が悪かった」
「何よ?」
「杉が死んだ事実に触りましょう」
「何!?」
首相は思わず声を上げた。
「…だって死んじゃったし。利用するしかないでしょ?」
「――――――!!」
どっちが先だったか分からない。しかし、カッとなると同時に首相は大尉の頬を張っていた。
ドラマのように分かり易い音はしなかったが、張られた大尉の頬は分かり易く赤くなった。
「何考えてんのよ!? どうかしてんじゃないの、アンタ!!」
「どうしようもないからでしょう?」
大尉は至って普通だった。首相の顔は怒りのままに紅潮していたが、対する方は叩かれた頬を触るでもなく、淡々と述べた。
「だってよ、正直ウチに杉が死んで得する事はないしね。難波香奈(なんば かな)に殺られた時もそうだけど、みんなウチに不利に働くし」
「そういう問題じゃ-っ!?」
再び振り上げた手を大尉は払い落とした。
「二度もやらせんわ。痛いんだから」
大尉は首相の腕を掴んだまま相手へ身体を寄せた。
「他にしようがある? どうせ宇喜多はこれ幸いと存分に煽り立てる。まともにやりやってウチに勝ち目はない。ならこちらは話の辻褄を合わせてウチで結論を出し開き直る。ウチに過失なしで話作ってね。そして取り敢えず勝つ。少なくとも防長は確保してね」
大尉の顔は終始平然としていた。ただその眼は先程より厳しく、口調語調は勢いを帯びた。首相は実に腹立たしく思った。納得できるからである。
二人に少し間が空いた。周りも静かである。両人の姿が緊張を強いているのだ。
「ホントにアンタ」
首相が先を取った。
「はい」
「いい面の皮してるわ。正直、イカレてる」
「ソイツはどうも」
大尉は一々反応しなかった。