爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第6章 渦 ―船上―
「言ったでしょ? 内面を誰が強いれるのってさ……少なくとも港に着く前に5回、私達はスコープ越しに見られてきたもの」
「は……?」
「五回よ。たまらなかったわ。首筋に寒気が走ったよ」
須崎は自分の首に触れ、摩(さす)った。
羽床は惚けた顔で何を言っているのか分からない様子だった。彼には良くわからない事をさらっと言われて理解に及んでないのである。
様子を見たのか、それまで黙っていた花蓮が割って入った。
「率直に申しますと、5回程殺されかけた、という事です。相手は狙撃手ですが、それぞれ個性がありました」
「そ、それはつまり」
「そんだけ沢山狙って来てたのよ。私達が向かって来るのを知った連中がね」
そう言い切られ、羽床は眼の下がひくついたのを感じながら、漸く理解したようだ。そう須崎は見た。
「ま、そういう訳なのよ。疑り深いのはゴメンナサイだけど、正直そうならざるを得ないかな。私だってまだ死にたくないですもの」
須崎は羽床へ少し微笑んだ。
羽床は先程よりやや態度を改めたが、それでも、はい、とは言えない。
「し、しかし……」
羽床はそれでも名を知り、性を聞きし船員達を疑う彼女達に納得は行かなかった。
「船員さんについてのみ外せ、とは聞けない話ね」
須崎は膝に調子をつけて椅子から立ち上がった。
「船に乗せてくれたのは感謝してるわよ? 貴方も付けてくれたし。でもね、それも払うべき物は払った上で、の事。ただの女、須崎優和をウェルカムで乗せちゃくれんでしょう、そっちだってさ」
「それは……」
羽床は二の句を告げずにいた。須崎は敢えてそのまま続けた。
「信じる、とか頼りにする、とかそういう人情話をしに宇喜多【殿】の所に行く訳じゃないのよ?」
須崎優和の顔は柔らかく笑みを湛(たた)えていた。それは、何も知らない純朴な者への、慈しみのようだった。だが、それ以上に突き放したものもない。感覚が羽床にそう教えていた。
「司祭様、あなたは……」
羽床は屈みから立ち上がり、彼女に並び立とうとした。だが、須崎はそうはさせなかった。
「報告、ありがとう。また、宜しく」
そう言うと、須崎優和は椅子を抱えて甲板を行き始めた。家所花蓮は羽床に一礼してその後ろに付いて行く。