爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第1章 西海之役
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「結局、やるしかないわけか」
ブラインドからは西日が差し込み、執務室のデスクを照らしている。デスクの前に置かれた長机には影が掛かり、影首先にいる首相の手には熱が感じられた。彼女の手は机上の資料を片そうとして伸ばされているが、対岸の大尉は只々煙草をくゆらせて、首相の動きを見るでもなかった。
「盗られたら盗る。当然だろう。まして陸軍の沽券に関わるんだ。盗らせた張本人の沽券にさ」
「なんだかなあ…」
「そう愚痴なさんな」
大尉は少し笑った。
「諸事は私がやってやる。諫早(いさはや)に陶山対馬(すやま つしま)もいるしな、どうにかなるさ。首相は取り敢えず首相の役目を果たせばいいさ」
「陸軍に半日缶詰めで嫌言吐かれるだけの簡単なお仕事ですね、分かります」
不貞腐れる首相は手元に集めた書類をやや乱暴に整えた。大尉の口角が上がった。
「違うな。海軍と空軍もだよ」
「はいはい! そうでしたね!」
吐き捨てる姿に大尉は噴き出した。それを見て首相は何か諦めたように溜め息をついた。
「楽な仕事って無いものねぇ」
「お上の苦労はお上しか知らんさ」
「そういうと前線はブチキレるんでしょ?」
「ああ、そうさ。血肉で奉仕する身の上だ。幕僚以上に抜かすだろうね」
「分からないでもないけどさ、だけど…」
「みんなが苦労しているだなんて考える奴はいやしない。自分が辛けりゃ誰かが楽しているって思うのさ。そうやって憎みや妬みで自分に活力を与えるのだろうね。ま、それでも良いとは思うがな」
「でもなぁ、それって健康的じゃないよねぇ」
「悪い癖だ」
大尉はそう言って珈琲の残りが溜まるマグカップに煙草を押し付けた。一瞬ジュッと音がしたが、首相が気付いた時には既に口を開いていた。
「前も言ったけど、全てを救うなんて思うものじゃない。思いは重石だ。持てば持つだけ後で苦しむ。まして抱えきれる程のキャパなんてなかろう?そうなら重石はいずれ毒になるんだ」
「・・・・・でも」
「でも、だけど、それでも、は無しだよ」
大尉は立ち上がり、首相の横まで来て、腰を落とした。
「義務感なのか優しさなのか正直私にはわからない。しかし、いずれにせよだ、貴方の理想の前にそれは壁だ。貴方はこの腐れ国家の在り方をひっくり返す為にここまでやって来たんだろう?」