爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第1章 西海之役
副官は複数枚の写真を地図の上に置き、それを一枚一枚摘まんで横一線に並べた。
「…それは?」
漸く赤みが取れた首相は副官が店を広げているのに関心を持った。
「先日出航したタンカーの積み荷さ。生きの良い猟犬共でしょ?」
大尉が空に煙を吹いて答えると、首相も席に着いた。
「猟犬って…傭兵?」
「Exactly」
大尉は地図上の写真の角を一枚爪で弾いた。二三度回転した写真は首相の手許にやって来て、丁度見下ろす所でピタリと止まった。
「アラブ人?」
「いや、ジャップ。風体はパレスチナのお偉いさんみたいだけど。元商社マンでね。湾岸戦争の折に見た戦争で狂ってしまった、残念な奴よ…って言われてるね」
大尉はもう一本煙草に火をつけた。
「どゆこと?」
「ん? ああ、実はね。どうやら嘘っぽいんだ。実は家業だったんじゃないかって風の聞こえもある」
「家業ねぇ…」
大尉の言葉に首相は不思議そうな顔をした。軍人家系というのは聞いた事があるが、傭兵家系って言うのは聞いた事がないのである。
「昔のスイスじゃあるまいしって顔だね」
「聞き覚えないもの、そんな話」
「識見を広げてもそりゃあねぇ。アングラそのものだから、自学自習にはちょいとハードルが高い」
大尉はいつの間にか短くなった煙草を皿に押し付けた。
「ああ、しにくい」
「マグカップはよしなさいね。楽でしょうけど、始末に悪い」
「私がやるんならいいでしょうに」
ふんっと鼻から小言も交えて吹き出し、大尉は意味もなく煙草を灰皿へ強く押し付けた。
「馬場君も何か言って頂戴」
首相は苦笑しながら副官に話を振った。副官は首相を一瞥し答えた。
「御両人の仲に入り込むのは野暮というモノでしょう。誘われても躊躇います」
馬場副官は抑揚もなくそう告げると、先を促すように手元の資料を一部ずつ吉野首相と蓮池大尉へ差し出した。
「…ブレないのね」
首相は独り言を言った。