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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第6章 渦 ―船上―


 甲板の騒々しさに振り返る水夫達は居ない。僅かの内にすっかり慣れきったのである。加えて、嫌な顔もしていない。日常の光景となってしまっているようだった。

「しかし、航海士」

 騒ぐ司祭を宥める羽床へ不意に花蓮が怪訝な顔で声を掛けた。

「洋上(ここ)からの撤退は兎も角としても、司祭様を危険な目に遭わせる訳にはいかない」

「話はまだ終わってません、お二方」

「・・・・・失敬」

 花蓮は羽床の言葉に引き下がった。須崎はまだむぅっとした顔のままでいるが、耳はしっかりと立っている。

「マスードは宇喜多様の旧知の仲の方。加えてゲリッチと仲が悪く、些か扱いに難儀しているようで」

「一方に敵すれば、一方に与できると?」

「そこまでは申しませんが、少なくとも宇喜多様の側近くにあれば…」

 須崎が顔を変えぬ中、家所花蓮が羽床に問い質し、羽床は少し難儀した。役回りか天然か、この女は対し難い。

「宇喜多クンもわざわざ呼びつけてナニさせる気なんでしょうね? まさか仲裁かしらね? 犬の喧嘩は家主も匙投げるわよ」

 須崎はそう言って溜め息をついた。仮にも政権の行方を賭けた戦いを犬の喧嘩同然に扱うのに羽床は唖然とした。もっとも羽床も慣れた男であり、唖然とした顔は露にも見せず、無表情のまま絶句していた。

 須崎は羽床に愚痴った所で意味などない事を良く理解していた。

「で、神戸に着くまでと着いてからのセーフティーはどうなってるの? まさか護衛が花蓮とSPだけとか勘弁してよ。性格の素敵な三沢クンとかが付き添いって話だったらそのまま大宰府行くからね」

「連絡では」

 羽床は再びメモに目を落とし確認を取った。

「岡利増(おか とします)陸戦隊少校と配下部隊がお二方を直接護衛されるようです。松山から神戸までは奈佐大和之助(なさ やまとのすけ)の戦隊が護衛に回る手筈になっています」

「奈佐? あら、あの海坊主がねぇ」

「ご存知で?」

「ん? まあ…色々とね」

 視線が外れたのを羽床は勘繰ったが取り敢えず次に進めた。

「松山から神戸港に到着し次第、岡隊と共に福原へ向かい、そこで宇喜多様と合流して頂きます」

「あとは案外ざっくりね。で、今聞いた中で危ない箇所は…」

「港に到着する際と船内でしょうか?」

 一考の最中に須崎へ花蓮が混じって来た。
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