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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第6章 渦 ―船上―


 今日は彼女をよく知るために傍に寄せたというのに。このサージェント、家所花蓮(いえどこ カレン)は名前負けする振る舞いといい、理解が及び難い所が多い。そもそもカトリック教団が内々に組織した反クリスト対策部隊の一員であり、日共の誕生と崩壊により産まれた歪みに対しての穢れ仕事を請け負って来た。そういう手合いを率いる隠れキリシタン上がりの血族へ今回の役回りの危険性を危惧し伝手(つて)を通じ護衛役派遣を要請していた十三宮聖がリストからピックアップしたのが彼女なわけである。教育勅語を愛する教団の長に、日共時代はテロリズムを繰り返して主の威光を物理的に知らしめ、体制崩壊後は日共残党や敵対視した異端宗門を根刮ぎ抹殺して来た最大宗派の殺し屋一族が送り込んで来た護衛役である。まともな相手でないのは分かっている。しかし、せっかくだ。せっかくの機会なのだから、という気もあるし、クライアントとの繋がり以外頼る物がない今回の務めに対して少しでも安全策を得たかったという本音もある。だが、この調子ではいかんともし難い。役に違える事を嫌う送り元のスタイルから裏切りの可能性は低い、と盟友十三宮聖は述べていたが、その十三宮教会自体本来なら異端討伐の対象として家所花蓮達を送り込まれかねない存在であり、十三宮教会の政財への繋がりやあくまで影にあって世の趨勢を見定めたい花蓮の親方の意向-以外にも理由があるみたいだが-によって協力体制が成っているのだ。念のため、という考え方は決して深読みではないはずだ。少なくとも須崎優和という人格はそれに是の判定を下したのだ。

 それでも、この具合では如何ともし難い。馴れ合いをさせぬように仕向けたか。

 斜め後ろに舌打った。花蓮には聞こえただろうか?

 護衛役は微塵にも揺らぎを見せずに直立し、司祭は腰掛け時を過ごす。この姿が小一時間甲板に見受けられた辺りに、甲板に人がやって来た。船長の遣いである。

 護衛役が足音へ振り返ると共に腰掛けの背後に立った。遣いである一等航海士は護衛より5歩離れた場所に立ち止まった。

「ご用の向きは?」

「船長へ松山より入電がありました。その報告です」

 引き締まった肉体に多少日焼けた肌をした航海士は白い士官服の映える男振りで、流行りではないのだが、なかなかにハンサムな面立ちをしていた。
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