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お菓子の魔女の言う事には。

第2章 お菓子の魔女の正体は。


黒い電子の龍が、リンクヴレインズの建物を焼き払う。粉々になり、飛び散るデータ粒子はその攻撃が凄まじい破壊力だという事を物語っている。近くの人々は逃げ惑い、次々とログアウトする。

当然だ、リンクヴレインズの世界で受けたダメージは現実世界とリンクする。大きすぎる負荷は現実世界での死をもたらしかねないのだから。

「Playmakerはどこだ!?焼き払え、クラッキング・ドラゴン!!」

怒りに震えるハノイの騎士が手当たり次第、龍に命じて辺りを焦土と化していく。そんな中、一人の小さな少年がデュエルディスクを構えて前へ出る。

「…何だこのガキ…」
「ぼ…僕だってPiaymakerみたいに戦うんだ!お前なんか怖くないぞ!」
「っ!」

Playmakerという単語に過剰に反応し、ハノイの騎士は表情を一変させる。相当頭にきているのだ。

「…う…っ!こ、怖くなんか…!!」
「そんなに死にたければ死ね!!トラフィック・ブラスト!!」

少年の姿が火炎によって焼き払われようとした、その刹那。

「罠カード発動!攻撃の無力化!」
「!?」

ブレス攻撃は異次元の中に吸収され、バトルフェイズは強制終了となった。ぺたんと尻餅をついた少年の前に人影が庇うように前に出る。

「何だお前は!」
「ご機嫌よう、お客様。お菓子の魔女がログアウトのご案内に馳せ参じましたよ!」
「お菓子の魔女さん…!?」
「小さなお客様、申し訳ございません。緊急事態発生につき本日のイベントは中止となります。
被害縮小の為このリンクブレインズのイベントスペース空間を閉鎖させて頂きますので、速やかにログアウトをして下さいね!」
「え…っ、え…?」
「さあ早く早く!急がないとこのお菓子の国からログアウト出来なくなっちゃいますよ~」
「でも…、ハノイの騎士が悪い事をするんだったら、止めなきゃ!Playmakerみたいに!」
「あらあら」

どうやらPlaymakerのファンらしい少年は、気は弱いが根性はあるらしい。デュエルをする気なのか、立ち上がってデュエルディスクを構えた。

「…なるほど。先のPlaymakerさんの行動に、あてられたという訳ですね。確かにあれは素晴らしい逆転劇でした!―――…しかしですね、小さなお客様」
「?」

魔女は少年の目線に合わせてしゃがみ、言葉を続ける。

「勇気と無謀は違うのですよ」
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