• テキストサイズ

【WJ】短編 -2-

第16章 【裏】私は飯田くんと致したい!/飯田天哉


「私、普通科の逢崎遥香って言います!あの、その…ずっと前から好きでした!」


 勢いに任せ、大声で告白。イエスと言われる自信は無いが、今回はそれでいい。私という存在を認識してもらうのが告白の目的だ。
 クラスメイトの前での突然の告白に飯田くんは予想通り固まった。そして、そんな飯田くんに追いうちをかけるように、教室からは驚嘆の声や冷やかしの声が上がる。


「え、ちょっと遥香ちゃん!?今のマジ?俺じゃなくて何で委員長!?」
「そうだ!ズリーぞ!なんでオイラじゃないんだよー!?俺だって雄英入った時から逢崎に目を付けてたっての!」


 声を掛けてきたのは唯一ヒーロー科で接点のある上鳴くんと峰田くん。


「気持ちは有難いのだが…!」
「あのっ!付き合って欲しいとかそんな事はいいません。ただ、私の気持ちを知ってて欲しくて…。」


 突然見ず知らずの同級生から告白された所でそれを受け入れてくれる性格でないのは、重々承知。


「おい委員長!まさかフる気じゃねえだろうな!?こんな可愛い子に告白されるとか、一生に一度あるか無いかだぞ!?よく考えろって!つーか、気持ちを知ってて欲しいだけとか、超健気…!」
「急にこんな事言って困らせちゃってごめんなさい…。こんな気持ち初めてで、どうしたらいいか分からなくて…。」


 飯田くんの様子を伺いつつ、マウントを取る。取り敢えずこれをキッカケに私という存在を知ってもらい、徐々に私に気持ちを傾けさせればいい。飯田くんの好きな物や行動パターン、その他諸々、毎日見てるから、私という存在さえ認識してもらえれば私を好きになるように誘導する事なんて容易い事。


「急に困りますよね…。ごめんなさい。」


 後ろで上手い具合に後押ししてくれる上鳴くんにグッジョブと心で親指を立てつつ、未だ困惑状態の飯田くんの様子を伺い見る。


「えっと…その、それじゃあ失礼します。」


 勢い良く頭を下げ、ヒーロー科を後にした。取り敢えず今日すべき事は成し遂げた。

/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp