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【WJ】短編 -2-

第10章 【甘】ヒーロー失格/切島鋭児郎


「なんかさ、最初よりも壊れてね?」
「やっぱり切島くんもそう思う?」


 九組目…つまりは私達の前の組であった爆豪くん、轟くんペアが個性をフルに活用した結果、元よりも更に倒壊が進んでいた。これがこのくじ引きの怖い所だ。どんなに仲が悪かろうと、個性の相性が悪かろうとくじ引きで決められたペアは絶対。プロヒーローになれば、即席でその場にいたヒーローとチームを組む事も少なくないし、そういった訓練経験が必要なのも分かる。けど、あのペアをモニター越しに見守るのは、見るに堪えなかった。

 オールマイトから訓練開始の合図を受け、倒壊ゾーンへと足を踏み入れた。まずは安全な道の確保。これは個性の関係上、私が適任。足元に気を付けながら、建物の倒壊状況を確認し、切島くんに安全な道を伝え、進む。今回設置されたダミーは赤ん坊型の人形。泣き声を頼りに倒壊した道を進んで行った。


「切島くん、上の階。階段の瓦礫、退けれそう?」
「おう!任しとけ!」


 瓦礫によって妨げられた階段。その瓦礫を切島くんが慎重に退けていく。全てを取り払えば再び瓦礫が崩れてしまう為、慎重に作業を進めた。
 人ひとり分通れるスペースを確保し、上の階へと足を進めると、切島くんの耳にもダミーの泣き声が聞こえる位、対象の傍に近付く事に成功した。

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