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【WJ】短編 -2-

第9章 【甘】及川徹の策略/岩泉一


「また色気の無い物食べてるねー。」


 白い浴衣に身を包んだ、普段以上にイケメンオーラを放つ及川と、二つ年下の及川の彼女。ムカつく位お似合いな二人。まあ、会うんだろうなとは思ってたけど。
 礼儀正しく挨拶をしてくる及川自慢の彼女はいちご飴を手に持ち、その姿がまた一段と可愛らしかった。自分が焼きそばを口いっぱいに入れ食べてるのが恥ずかしくなる位。


「彼氏の前で焼きそば食べる彼女ってどうよ、岩ちゃん?」
「私が何食べようと私の勝手でしょ!」
「美味そうに食ってんだからいいだろ。」


 岩泉のその言葉に安心したものの、やっぱり男としては、及川の彼女みたいな女の子の方が嬉しいよな。お世辞にも私は可愛いとは言えないし、女の子らしさとも無縁。


「徹さん。お食事中に邪魔しちゃ悪いですよ。」


 口を開けば嫌味しか言わない及川を遠ざけるかのように、気を利かしてそう言った及川の彼女。なんでこんないい子が及川の彼女なのか。やっぱり顔か。彼女の言葉に促され、及川は彼女の腰に手を回し、去っていった。
 お腹も満たされ、岩泉と共に、金魚すくい、ヨーヨーすくい、射的と夏祭りを満喫したが、いつもなら気にしない及川の言葉がずっしりと私の中に残り、心の底から楽しめずにいた。もしかしたら口にしないだけで岩泉もそう思ってるのかもしれない。そう思うと気持ちは沈む一方だった。


「疲れたか?」
「いや、大丈夫。」


 いつもと調子の違う私を心配してか、岩泉がそう声を掛けてくれた。


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