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【WJ】短編 -2-

第9章 【甘】及川徹の策略/岩泉一


『やっぱり浴衣っていいよね。』
『うわ。女の子向けのファッション誌見ながらもそもそと気持ち悪いんだけど。』
『開口一番に酷くない?』
『俺はどれが彼女に似合うかなーって思ってチェックしてただけ。因みに勘違いの無いように言っとくけど、これ、俺のじゃないからね。』
『はいはい。』
『彼女がさ、徹さんに可愛いって思われたいから、どういうのが好きか教えて下さいって。天使かと思ったよ。』
『及川の彼女自慢聞き飽きたんだけど。会話に一々彼女自慢挟むのやめてくんない?うざい。』
『同じ女の子なのに、どうして俺の彼女と岩ちゃんの彼女はこんなにも違うのか。あ、岩ちゃんがゴリラだからか。だから逢崎はゴリラみたいに可愛げ無いワケね。うん。それなら納得。』
『その自慢の顔、彼女の前に立てないくらいボコボコにしてやろうか?』
『てかさ、逢崎も夏祭り行くんでしょ?』
『行くけど。』
『まさかとは思うけど、私服で行くつもりじゃないよね?』
『そのつもり。』
『折角の夏祭りデートに浴衣着なくてどうすんの!?』
『だって動きにくいし暑いし。』
『岩ちゃん、逢崎が浴衣着たら喜ぶと思うよ?こないだ岩ちゃんと出掛けた時、浴衣見ていいな、って呟いてたもん。私服なんかで行ったら折角の夏祭りデート、岩ちゃんが浴衣着てる女の子達に目移りしちゃうよ。』


 あの時は岩泉に限ってそんな事は無いと言ったけど、後になって、あの岩泉が店頭に並ぶ浴衣を見ていいと呟く位なのだから、もしかしたらもしかするかもしれない。それこそ及川の彼女みたいに可愛い子が浴衣を着て岩泉の前に現れでもしたら、目を奪われてしまうかもしれないと、ちょっとした危機感が芽生え、浴衣を着て夏祭りへ行く事に決めた。中学の頃に着てたやつだから少し子供っぽい気もするけど。


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