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【WJ】短編 -2-

第5章 【裏】糖度100%/爆豪勝己


 事の始まりは、中国、軽慶市、〝発光する赤子〟が生まれたというニュースだった。以降各地で〝超常〟は発見され、原因も判然としないまま時は流れ、いつしか〝超常〟は〝日常〟へ。〝架空〟は〝現実〟に。世界人口の約八割が何らかの〝特異体質〟である超人社会となった現在、その約八割の中に含まれる私。その八割には、色々な特異体質を持つ人間がいて、その個性は十人十色。そんな中、私の持つ個性は〝糖度超過〟。触れた物の糖度を上げるという、何とも辺鄙な個性で、高校で知り合ったヒーロー科の彼の言葉を借りるなら没個性って奴。けど、これまた高校で知り合ったヒーロー科の別の彼からしてみれば、私の個性はどんな個性よりも魅力的ならしい。そんな彼の個性は、糖分を摂取する事でパワーを倍増出来るって奴で、まあ、そんな個性の影響もあって、学科は違うが、砂糖くんとは仲良しだ。本当に役に立たない個性だったのが、砂糖くんと一緒にいると、その没個性が嘘みたいに輝く。まあ、それは体育祭の時だけであって、普通科とヒーロー科、普段じゃこれっぽっちも接点が無く、残念乍砂糖くんの役には立てそうもなかった。
 けど、年に一度だけ、私の個性が役に立つ日がある。そう、バレンタインデー。お菓子作りが苦手な女の子達に私は大人気。失敗した黒焦げのチョコチップクッキーや、甘さの足りなかったチョコレートケーキ。私が触れると、その失敗作のお菓子達が、絶品のスイーツになるらしい。因みに私は常日頃から甘い物しか摂取していない為、その味の違いが分からない。所謂味覚音痴って奴。普段から甘い物しか食べれない私、幸いにも糖尿病にならずに済んでいるのはこれも個性の影響かもしれない。因みに私が一からお菓子を作ると、糖度が限界値を振り切るらしく、友人達曰く、食べれる代物じゃない。だから今まで誰かにチョコレートなんかあげたことなかったけど、今年は特別。砂糖くんなら、私の作ったチョコレート、喜んで食べてくれるだろう。そう思って、日頃からお世話になってる砂糖くんにチョコレートを持って行った帰り道、私の事を没個性と称した不機嫌な爆豪くんに捕まり、空き教室に二人きり。硬い床の上に押し倒されていた。


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