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いとし、いとし【短編集】

第21章 本丸大炎上【刀剣 蜻蛉切】


現世に誰かをつれて行く気はなかった。

それこそ、袴着の為に1度現世へ戻ると決まった時、長谷部が『是非お伴に‼』と申し出てくれたが、丁重にお断りしていた。


でも、息子の「蜻蛉切‼」という発言から、やっぱり誰かがついて行った方が良いのでは?という意見があがり、


「でしたら、ご子息の指名を受けました自分が…」

と、蜻蛉切が名乗り出た。



それを聞いて息子は大喜び。



「本当?本当に?」と抱きつく姿に私を含めて誰も異を唱える事も出来ず、
蜻蛉切にお伴をしてもらう事となった。





「現世とは…些か緊張しましたな」

無事に御詣りを終えて、
息子を真ん中に未だ緊張の面持ちの蜻蛉切と三人で並んで歩く。

端から見たら家族に…親子に見えるだろうか?


政府が言うには、私や息子には本丸の時と同じ姿にしか見えないが現世の人には、現世寄りの見た目に補正されてみえるらしい…


現世寄りって何だろう?
髪の色とか、服装とかが変わるのかな?

便利なもんだ。
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