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いとし、いとし【短編集】

第34章 自分達の事は棚に上げて!!【刀剣 浦島虎徹】


翌朝。



「うわぁぁぁぁー!!」と叫ぶ浦島くんの声で目を覚ました。


「おはよう」

「あ、主さん!!!!なんでー??!!!!」


「否、なんで?ってそれは…」



続きを言う前にスパーン!!と障子扉が開く。


朝陽を背に立って居るのは、彼の兄二人。




「浦島の叫び声が聞こえたが、うちの浦島に無体を働いたのかな?」

「主といえども、それは許さんぞ」


抜刀しそうな勢いの二人に、
「違います。違います」と首を横に振る。


それから数時間、私は兄二人が納得をするまで、昨日の事を繰り返し繰り返し説明をした。

それはもう、繰り返し、繰り返し…。

まるで尋問の様だった。

そもそも、二人が喧嘩なんかしなければ、浦島くんは私の部屋に逃げ込んで来ることも無かったというのに…。



同じタイミングで頷き、同じ事を質問する兄二人に、

なんだ、仲良し何じゃん!と思う。





無事に浦島くんへの無体の疑いが晴れ、彼が虎徹兄弟の部屋へ戻った数日後、

今度は信濃藤四郎がやって来て、『俺も大将の懐で寝たい』とか言い出した。

もう、数時間に渡る兄からの尋問はお断りなので、問答無用で彼を彼の兄の元へお届けする。


「浦島ばっかりずるいー!」


夜もふけた本丸内に信濃の声が響く。




うん。明日もきっと平和な1日だ。

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