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いとし、いとし【短編集】

第34章 自分達の事は棚に上げて!!【刀剣 浦島虎徹】


「ごめんね。そねさんは新撰組の部屋へ行って貰えばよかったね」

「主さんが悪い訳じゃないよ。俺は皆で仲良くしたいだけなんだ」

「うん。そうだね。そうだね」


シュンとしょげてしまった浦島くんの頭をヨシヨシと撫でた。

なんとなく、この虎徹三兄弟は、家の兄弟に似ている。

私も三兄弟の末っ子。
我が家でも一番上の姉と二番目の兄は、よく喧嘩をしていた。
間に挟まれる私は、上二人が喧嘩をする度、複雑な思いが込み上げる。

人が言い合う姿というのは、見ているだけで、辛く、悲しい気持ちになるのだ。近しい人なら尚更…。

そして、喧嘩をする二人の間に入って、諌めようとするのは、すごくすごく気を使うのだ。


だから…彼の気持ちは痛いほどわかる。


「時間はかかるかもしれないけど、お兄ちゃん達も、きっと、浦島くんの気持ちわかってくれると思うよ。ハチの方には私からも言っとくね」


そう言うと、今まで溜め込んでいた物が溢れて来たのか、彼は私に抱きつきワンワンと泣き出す。


「辛かったね…。気が済むまでここに居ていいからね。必要なものがあれば明日一緒に取りに行こう?」


私の懐でコクコクと頷き、グスグスと鼻をすする浦島くんが落ち着くまで背中を撫で続けた。


暫くすると、スースーと規則正しい呼吸音が聞こえる。

どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ。

可愛い寝顔の目元にたまる涙をそっと拭って、彼を布団に横たえた。

「辛い思いさせてごめんね」

明日、兄二人は説教だ!と決意し、私も寝ようかと布団を敷きに立ち上がろうとすると、ぐいと裾を引かれる。

浦島くんの手が私の寝巻の裾を握り込んでいて、どうにも離さないのだ。

きっと、甘えたいのだろう…。

でも、どうしよう?


暫く考えたけど…
明日も早いし、もう仕方ないので、私も彼の隣に横たわった。


執務で疲れて、すごく眠い…。

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