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いとし、いとし【短編集】

第4章 真っ直ぐな彼【krk 早川充洋】


同じ顔をした双子の妹に連れられ、駅前へ行けば、他の人から頭1つ分以上飛び出た、見覚えのある集団が目に入った。


騙された…。

これが、正直な感想。


「お互い彼氏が部活ばっかりで寂しいんだから、一緒に夏祭り行こうよ‼お揃いの浴衣着て‼」

なんて、可愛く誘って来たこの妹はとんでもない嘘つきだ。


目の前には、

妹の彼氏で私達の幼馴染みである小堀と、小堀の後輩でもあり私の彼氏である充洋くん…

以下、森山、笠松、黄瀬の海常バスケ部レギュラーの皆。



一緒に行くなんて知ってたら、浴衣なんて着て来なかったのに…

キャラじゃないのに…



「結依さん‼可愛いです‼お似合いです‼」


賑やかしい彼…充洋くんは、
妹の後ろに隠れて、足を進めない私の側に来て、それはもう、盛大に褒め称える。


「声…大きいから…」


恥ずかしくなって、うつむけば、

「すみません‼でも、お(れ)う(れ)しいです‼」

なんて、満面の笑みを向けてくれる。


はじめて彼の好意を知った時はいくらか戸惑ったが、

今では、この真っ直ぐ過ぎるくらいに真っ直ぐな彼が、すごく可愛くも思うようにもなった。

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