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Aprikosen Hamlet ―武蔵野人狼事変―

第3章 「愚者」THE FOOL


聖「あら、天満ちゃんに念々佳(ねねか)ちゃん、こんにちは^^」

ぜんじょうもん ねねか
禅定門念々佳
「愛生(I say)! ラブニコ日和、です!」

聖「…本日は、如何なる書物をお探しですか?」

天満「えっとですね…その前に、先日お借りした『ギルガメシュ叙事詩』を返却しようと思いまして…」

聖「ああ、はい。舞台は都市国家ウルク遺跡ですが、『旧約聖書』にも見られる洪水説話など、興味深いですね…しかし、かくも早くお返しに来られるとは、何か至急の御予定でも?」

天満「いえ、特には…」

聖「お姉ちゃんの眼は、欺(あざむ)けませんよ? あなたの心は今、血塗られし世界を見据えている…違いますか?」

念々佳「こ…心を読まれてるニコ! やっぱりこの人、『スペックホルダー』ニコ!」

天満「ちっ、バレたか…一時は大宰府まで押し返されていた九州の連合軍が、再び下関への上陸を開始したというニュースは、御存知ですよね?」

聖「ええ…私達の教会も、和睦の仲介に参じております」

天満「下関陥落後、山口への総攻撃が予定されていますが、その空爆作戦に、あたし達が出陣する事になりました」

聖「…あなた方は、戦場へと赴くには、あまりにも若過ぎます」

天満「自分が未熟である事は、あたしも良く分かっています。でも…」

念々佳「私も止めたんですが、『戦わなきゃ、分からない事がある』とか言って、譲らないニコ…」

 「地元の優しいお姉ちゃん」(後には「帝國最後の魔女」)として知られる十三宮聖(とさみや ひじり)が、最若の少年兵候補と話している間、司書学芸員の津島三河守長政(つしま みかわのかみ ながまさ)は、何かを思案していた。
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