Aprikosen Hamlet ―武蔵野人狼事変―
第7章 「世界」THE WORLD
仁「…これで、全て終わったんだね…」
幸「ああ…」
仁「この平和が、今度こそ、ずっと続きますように…!」
幸「それこそが、僕達に残された『任務』だよ…きっと」
私達は再び、天空を見上げる。今はもう、この近くには居ないかも知れない。けれど…あの時、あの大空に、確かに彼らは居た。折しも、卒業と入学、別れと出逢いの季節である。ならば私達は、彼らを祝福しなければならない。
仁「おめでとう」
幸「…」
そして…英雄達の輝かしい活躍の裏には、名前すら遺せずに散って逝った、数多の人々が存在したという事も、決して忘れてはならない。過去に消えた彼らにとって、私達が無為に過ごしている現在は、誰よりも待ち望んだ未来であったに違いない。それら全ての生命と、彼らの想いの果てに、こうして私達が存在できているならば、私は…私達は、何度でも感謝しなければならない。だから…。
仁「ありがとう」