• テキストサイズ

よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


『……12Sっ!。』
素早く起き上がり、10Dは地べたを這いずるサメ型機械生命体に小剣を構える。
尾だけが元気に動いていて、頭部は壊れたまま引き摺られているようだ。
気味が悪い。あんな状態で動くだなんて考えもしなかった。
思えば頭と尾で分かれて動けるのだから、コアが2つあると考えても何の違和感もない。気付くのが遅すぎた。
10Dはサメ型機械生命体を気にしながらも、12Sの様子を窺う。
『12S、大丈夫?!。』
左半身が潰れ、手足が千切れかけている。もしかしたらブラックボックスごと破壊されているのかもしれない。
心配して10Dが声をかけ、反応を見る。
「10D……無事か……?」
絞り出したような声が10Dの耳に届いた。
どうやらあまり良い状態ではないらしい。
『12S!。待ってて、倒したらすぐ助けるから。』
「……ポッド、10Dを………支援しろ……」
「了解」
ポッド085が直ぐ様10Dの傍らへ移動する。
『ポッド107、ポッド085、行くよ。』
10Dがサメ型機械生命体を指差し、ポッド2機を誘導する。随行支援ユニットをそれぞれ両サイドからガトリングで攻撃させた。
目のない機械生命体なら標的が何処にいるのか分からずに混乱するだろう。
『両機、もっと敵に近付いて!。照準はなるべく金属板の境目を狙うように!。』
10Dが少し離れた所から指揮を執る。
こんな戦い方は初めてだ。他者に指示を送るのだってポッド107以外にはしないことなのに、随行支援ユニットを複数操るなんて以ての外である。
やや緊張気味に双方に命令し、10Dはタイミングを見計らう。暴れる尾びれから3機とも充分に距離を取り射撃を続けた。
やがてサメ型機械生命体の装甲が弱り、隙間が見え始める。10Dはそれを確認すると2機に声を掛けた。
『ポッド107と085、レーザーを撃って!。』
随行支援ユニットの2機が前方の機械生命体の尾に向かって強力なレーザーを放つ。
貫きそうな程の衝撃に機械生命体は堪えられず、力尽きたように尾びれを地面に垂らした。壊れて開いた外装から微かにコアの輝きが漏れ出ている。
クールダウン中のポッド達に攻撃停止の合図を送り、機械生命体へ駆け寄ると10Dはそのまま外装の隙間に小剣を刺し入れた。
コアの光が消え、完全に死んだことを確認すると10Dはすぐに12Sの元へと走る。
『12S、ごめん。大丈夫?。』
/ 138ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp