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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


囮のホログラムに機械生命体が辿り着く直前を狙い、僅かな距離に勢いをつけて走る。
『喰らえっ!。』
自身のホログラムごとヤドカリ型の機械生命体を横一閃に薙ぎ払う。
力強く振り被った小剣は機械生命体の体を持ち上げ、少し離れた所まで投げ飛ばした。
『やった?。』
「報告:敵性反応の増減無し。推奨:12Sの応戦をする」
『え、どうして……?。』
優先するべきは今倒し損ねたサメ尾のヤドカリ型機械生命体を追うことだろうと疑問に思う。
「報告:12Sの現在地は、10Dがヤドカリ型機械生命体を投げた方向である」
『それ、早く言ってよ!。』
ポッド107の報告を聞き、急ぎ12Sの元へ向かう。
「10Dー! 退避! 退避!」
色味のない視界の奥に動く物体が3つ。ゴーグル越しにこっちへ走ってくる12Sが見えた。逃げるよう叫んで警告している。
『は……またぁ?。』
慌てて踏み留まりながら、「勘弁してくれ」といった調子で10Dが呟く。
12Sの背後で、再度1つになろうと蠢動するサメ型機械生命体の頭と尾が見えた。
「10D、僕がまたハッキングで止めるから今度は分離しない箇所を壊してほしい」
『いいけど、厳密に言えばどこら辺?。』
地べたで変形を続ける機械生命体と距離を取りつつ、随行支援装置で射撃する。
「そうだな……脳天とか?」
『無理だよ、あそこ装甲分厚いもん。』
「や、さっき僕が戦ってるときに外装が裂けたんだ。そこの隙間から差し込んでみて」
『きわどいね。でもやってみるよ。』
12Sは手をかざし、10Dは武器を構えた。
変形を終わらせつつある機械生命体は機体をうねらせ2機を睨む。
そしてそのまま這うようにして勢いよく10Dと12Sの元へ向かってきた。
飛ぶためのシステムを期せずして破壊できていたらしい。先程とは違う、ズシンズシンと床が壊れそうなくらいの重厚な音を立て足場を揺らして迫ってくる姿に少しだけ怯む。
腹部を中心にダメージを受けている為ボロボロではあったが、まだ充分余力があるようだ。
「10D……いくよ!」
『了解っ。』
12Sがハッキングを開始する。
合図に応え10Dはポッド107の灯りを消して走り出した。
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