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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


12Sが前に手を突き出して構えた。
「了解」
「ポッドじゃない! 10D!」
言いながらサメ型機械生命体をハッキングする。一瞬の間、金色の粒子が規則的に舞い散りサメ型機械生命体の動きがまた鈍くなった。
『……いいよ、任せて。』
10Dが背中に1本残った大剣を抜く。大剣は力が要る上に素早く振ることも出来ないから滅多に使わないのだが、敵が身動きが取れない今なら何とかなりそうだ。
ハッキングを受けて少し傾いているサメ型機械生命体の腹面を狙って叩き切る。
奥まで刺さっている愛用の小剣の一部に擦れて嫌な音を立てた。運良くコアを破壊できるといいけれど、何処にあるのか把握出来ていない今手探りに刃を入れる他ない。
比較的薄い装甲を突き破った大剣を深く刺し込んでから薙ぎ払うようにスウィングさせる。
内部を丸ごとぶちまける気で、重い手応えをなけなしの腕力と遠心力に任せて振りかぶった。
腹部の金属板はメリメリと音を立てて砕け剥がれていく。その間から茶黒い内容物が飛び出し辺りに散っていった。
大剣に重心を持っていかれバランスを崩すも、再度両腕を振り上げて追撃を行う。
これで最後だ、真っ二つにしてやる。
10Dはそう意気込み勢い良く大剣を振り下ろした。
「……………、……」
その時、目の前のサメ型機械生命体が妙な音を出したことに10Dは気が付く。
『…………!?。』
サメ型機械生命体へ振り下ろした大剣は空を切り、手応えの無かった10Dの体は余力で宙に投げ出された。
大剣の柄が握った手から離れ、義体が地面に叩き付けられるまでの最中に10Dは信じられないと云った表情で景色を眺めていた。
確実に当たる距離にいたのに。外すなんて有り得ない所まで来ていたのに。
何故、と思考を巡らせようと思ったところで10Dの義体は硬い床に激突した。
『(一体何が……?)。』
義体の損傷を気にしながら10Dが直ぐさま起き上がる。
何が起こったのかよく分からないが振り下ろす間際、奇妙な音と共に物体が左右に分離したような気配を感じたことを思い出す。
空中に浮かぶサメ型機械生命体は現在確かに真っ二つに割れていた。
しかし10Dの思っていた割れ方とは違うようだ。
裂かれた筈の双方の断面からは何かが盛り上がるように出てきている。
「10D、早く離れるんだ!」
トランスフォームを始める機械生命体に警戒し12Sが10Dに呼び掛けた。
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