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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


破こうとするが、すぐに動き出したサメ型機械生命体が10Dを振り払おうと暴れた。
『しまった……!。』
破けずに絡まったままの服に引っ張られ、10Dは地面に叩き付けられる。
衝撃と痛みのなか受け身を取ろうとしたが、絶えず暴れるサメ型機械生命体のせいで叶わずそのまま宙吊りにされた。
逆さまになった上体を戻す為、サメ型機械生命体の頭部にしがみつこうと勢いをつけ身体を起こす。
ボルトや金属板の凹凸に指を掛けて体勢を固定した。
すると当然サメ型機械生命体は暴れ、顔面にしがみついた敵を振り払おうと壁に向けて突っ込む。
『…………っ!。』
避けられない、と10Dが迫り来る壁に焦り、成す術なく目を瞑った。
「ハッキング……!」
何処からか誰かの声が聞こえた。
女型とも男型とも捉えられない独特なその声で、10Dは仲間が駆け付けたことを知る。
光の粒子が見えた直後、サメ型機械生命体の動きが鈍り出した。
しかし壁まであと少しだ。鈍くなろうがどのみち壁には激突する。
好機を逃すまいと10Dは服を力一杯引き裂いた。
ベルベットが悲鳴を上げたような音を出し繊維の方向に沿って破け、サメ型機械生命体の歯からすり抜ける。
支えるものが無くなった10Dの機体は床に零れ落ちた。
間一髪の所で解放され、頭上のサメ型機械生命体が壁に己のみを衝突させる。
『……12S?。来てくれたの!?。』
急ぎサメ型機械生命体から離れた10Dが声のした方に呼び掛ける。
声のした方――自分達が入ってきた場所の反対側の通路に1機のアンドロイドとその随行支援ユニットの姿があった。
「報告:十号D型と合流。討伐対象の機械生命体と交戦中の模様。推奨:加勢する」
「大きな機械生命体だ……間に合ってよかった」
サメ型機械生命体と10Dを確認し、12Sが武器を手に構える。
傍らのポッド085も銃口を向け攻撃に備えた。
『ポッド、12Sの近くに行こう。』
ポッド107を連れて10Dが走り出す。
すると体勢を持ち直したサメ型機械生命体がまた10Dを狙って突進した。
「10D! 後ろ!」
『えっ……うわ、危なっ!。』
猛進するサメ型機械生命体を横に退いて避ける。サメ型機械生命体は止まることなく進み、12Sへと向かった。
「僕がハッキングで動きを止めるから、その隙に急所を攻撃して!」
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