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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


『ここは何なの?。』
「報告:イルカショー等のイベント用プールと、その観覧席であったもの」
2m程の壁のあるプールの縁に登れる台を上がり、中を覗き込む。
ここは他の水槽とは違った。
『水がたっぷり張られてるね。』
「推測:先日続いた雨の影響」
『そうなんだ……。何だか薄汚れてて、底がよく見えないね?。』
呑気に話している最中、10Dは風に靡いてゆらゆらと揺れる波紋の奥に黒ずんだ大きな影を見た。
『…………?。』
目を凝らすがよく見えない。でも黒っぽいそれなりの大きさのものと云ったら……と嫌な予感が自然に掻き立てられた。
『ねぇ、もしかしたら探してる12Sは………。』
恐々とポッド107に目を向けて何か言葉を貰おうとする。
その瞬間、視界の端で黒い影が段々鮮明に、より大きくなって見えた。
『………?!。』
アンドロイドの大きさではない、と10Dが驚いてプールに目を向ける。
それと同時にプールの中央が高く盛り上がり、水面を突き破るような勢いで茶黒い鉄の塊が現れた。
尖った頭と胸や背中にあるヒレ、大きな尾。
間違いなく魚型の機械生命体である。
「報告:敵性反応あり。今回の討伐対象の機械生命体」
『遅いよっ!。そういうのは敵の姿が見える前に教えて!。』
水上に飛び跳ね、また水中へ打ち付けられるように潜る魚型機械生命体。その衝撃で上がった飛沫から逃げるように10Dは急いで台から降り機械生命体から距離を取る。
「報告:ホオジロザメ型機械生命体。推測:釣りには向いていない」
『魚型を倒すなんて初めてだよ……。ホオジロザメってどんな魚なの?。』
「回答:鮫類の中で最も凶暴で獰猛であることで有名。旧人類にとって海に潜む脅威の対象であった記録がある」
高いところから様子を伺おうと階段を上がる。
するとサメ型機械生命体がまたプールから飛び出した。
『ポッド、ガトリング。』
出て来たところをポッド107に命令し、タイミング良く射撃させる。
すると重力に従い落ちるだけな筈のサメ型機械生命体が水中を泳ぐようにして飛び、そのままこちらに向かってきた。
『えぇっ………?!。』
どうやらこのサメ型機械生命体にも戦闘用機械生命体と同じ飛行機能が登載されているらしい。
列車型の機械生命体と同じだ、と10Dは近付いてくるサメ型機械生命体から逃げる。
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