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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


『人類もこんなに大きくなれるのかなぁ……。機械生命体みたいに色んな大きさがあっても良さそう。』
「否定:重力の関係もあり、地上では大きくなる限界が定められている。報告:種類にもよるが、水中の生物は生きた年数だけ成長を続ける生体が多く存在する」
陸上生物は大きすぎると自身の重さを支えるのに精一杯になってしまうため人類は今の大きさで充分である、とポッド107は説明する。
『そうなんだ……まぁ大きさが統一されてた方が何かと便利だもんね。服とか建物とか大きすぎたら入らないし。』
骨を元の位置に戻してから適当に奥へと続く通路を進む。埃だらけの足下で掠れた矢印が道順を示していた。
そこら中にガラス片や砂や、何かが干からびたものが散らばっている。
壁に嵌め込まれた小さめの水槽が等間隔に並ぶ通路を過ぎていくと、その先に底の深い水槽を見つけた。
『大きいね。これが巨大水槽?。』
「報告:アザラシやアシカなどの生体を展示するためのプール。巨大水槽はもっと大きい」
割れたガラスから底を覗き込むと、3メートル程下に機械生命体が数体倒れていた。
どうやら水の引かれたプールに落ちたまま上がれずに燃料切れで力尽きたらしい。
どう頑張っても這い上がれない場所で延々暇を持て余すのはさぞかし辛かっただろう。
『……不憫だね。』
同じようにはなりたくない、と10Dが恐々水槽から離れる。
更に進んでいくと、折り返しのあるスロープを下った先で広い空間に出た。
『うわぁ……大きい。これが巨大水槽?。』
「肯定。推測:目測は幅約39m、奥行き約87m、深さ約9m、水量約24t」
『超大型機械生命体みたいなスケールだね。今は瓦礫と砂ばっかりだけど、平和だった頃はすごく迫力があって綺麗だったんだろうな。』
老朽化して割れた分厚いアクリルガラスの上に立ち、水槽内を見回す。
『昔はこんな所で生きてる魚がたくさん泳いでたのか……ねぇ、24tってどれくらい重いの?。本当にこの中にそんな数が入るのか信じられない。』
「報告:24tは司令官およそ143体分の重さである。ちなみに当機36kgの場合はおよそ666体分となる」
『夥しい数だね……分かりやすい例えではあるけど、そんなに要らないよ。』
数字に辟易しながらガラス片の上から飛び下り、12Sと合流する為に次の通路へ向かう。
ブラックボックス信号は少しずつ反応を強めていた。
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