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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


走り続けて約30分。10Dとポッド107は廃墟都市の駅廃墟から6駅先の付近にある水族館廃墟に到着した。
「報告:水族館とは、海洋生物を中心とした人類以外の生体を飼育・研究し展示品として人々に観覧させるアミューズメントパークである」
『魚型の機械生命体を飼ってる人ならヨルハにもレジスタンスにも数人居るけど、人類も同じようなことしてたんだね。』
そこら辺の川や湖畔で釣れる機械生命体はメダカ型やフナ型、ウバザメ型など様々だ。ただ10Dが本物の魚を釣り上げたことは1度もない。アンドロイドでは誰も潜れないような深海に未知数溢れ返っているらしいが、浅瀬には機械生命体の魚ばかりだった。
『水族館には今はもう何も居ないんだねー……どんな感じだったんだろう。前に見た愛好家は、メダカ型機械生命体を鑑賞しやすくする為にガラス製の箱に入れてたね。やっぱり人類も箱に入れて並べてたりとかしてたのかな?。』
「否定:水族館の多くは、目を見張る程の大きな水槽をメインに海中と同じような環境を作っていたとされる。娯楽目的だけの観賞ではなく、海中の状況を観る者に学ばせる目的もあった」
ポッド107が端末で動画を再生させる。多種多様な生物が広い空間を遊泳している様子が見てとれた。
画面から見切れている水槽の隅には小さく人類も写り込んでいる。人類とアンドロイドが同等の大きさであることからも考えて、比較する対象が大きめの立派な建物くらいしかないことは一目瞭然だった。
『この大量にいる小さいのは?。』
「回答:カタクチイワシ。群れになって行動する習性がある。外敵からの被害を最小限に抑える為。補足:魚にも上下関係が存在し、内側を泳ぐ狙われにくい個体ほど高い位だと考えられている」
『この大きいやつは?。』
「回答:シロワニ。サメの一種で、比較的穏やかな性格。同じ水槽の魚も捕食対象ではあるものの飼育員によって充分な餌が与えられる為、水槽内で食物連鎖を起こさせない仕組みになっている」
『この平たいのは生き物?。』
「回答:ホシエイという生き物。サメとエイは共に軟骨魚網にあたる仲間であり、その判別は鰓孔の位置でしか決められていない。側面に縦線が入っているのがサメ、腹面に横線が入っているのがエイとなる」
資料を見ながらポッド107が淡々と答える。
10Dは動画が終わるまでモニターを凝視していた。
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