第4章 水族館廃墟
『双子のアンドロイドって真っ赤な髪の毛の?。』
「そうよ、2人ともそっくりな顔立ちと服装をしていたの。私が話しかけようとしたら逃げちゃったけどね」
『デボルとポポルだ。あの2人は他のアンドロイドとは見知った仲じゃないと交流しようとしないから……。』
10Dは過去1回だけレジスタンスキャンプの伝達係について行って会ったことがある。
デボルとポポルは迫害にあった経験のせいで他のアンドロイドを酷く警戒していた。
実際デボルとポポルに何らかの恨みを抱いているレジスタンスもキャンプの半数は居るようで、キャンプには受け入れられない状況だ。
デボルとポポルの双子モデルは世界各地に配備されていて、どこかの1セットが暴走を起こしたのが原因で他のデボルとポポルも信用を失い迫害を受けるようになってしまったらしい。
唯一デボルとポポルに頻繁に会っているレジスタンスの伝達係であるピジュンがそう言っていた。
『義体が探しても見つからないってことは誰かが持ち去ったってことだけど……デボルとポポルはその現場を目撃したりとかはしてないのかな。』
「……もしかしたら何か知ってるかもしれないわね。今度降りたとき訊いてみるわ」
それから暫く他愛のない話をしてから、5Bは自室に戻って行った。
何もすることのない10Dはまたポッド107と共に窓の外を眺め始める。
夜の地帯にうっすら見えていた雨雲はいつの間にか消えてしまっていた。