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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟



エイリアンの騒動があった2日後。
バンカーの歪曲した通路で、アンドロイドとその随行支援ユニットの2機が窓から景色を眺めていた。
『ねぇ見て、ちっちゃい隕石。』
「推測:このまま大気圏に突入し燃え尽きる」
浮かんで流れる石を差した指で追いかけていく。
暫くすると見えなくなった。
遠くなったからか、消えてしまったからか。
そんな事はどうでも良かったらしく、10Dはまた別のものに興味を示し始める。
『ねぇ、私たちの担当区域真っ暗でほとんど見えないけど、うっすら白い膜が張ってるように見える。』
「報告:大きな雨雲。推測:現在地上では多量の雨が降っている」
『珍しいね、最近は全然だったのに。……あっ、いま雲が光ったよ!。』
「回答:光の正体は雷。大量の静電気が集まり、一気に放出することであのような膨大な光エネルギーになる」
『へぇ、雷って上から見たらあんな感じなんだ……。』
10Dは今度は昼の地帯に視線を移した。
昼の地帯にも雲は幾らか見られる。でも雨は恐らく降っていないだろう。
『エイリアンの反応が出たのはどこら辺?。真ん中の方?。』
「報告:極東の辺りとの情報が入っている。そこは昼の地帯の中央ではなく、昼と夜の境目でもなく、その中間辺りに位置する地域である」
太陽の光や熱が一番届く中央の地域は灼熱地獄のようで、その逆の光も熱も届かない夜の地帯中央は氷の国になっていると聞く。
暑すぎず寒さのない温暖なその地帯はさぞかし快適な環境なのだろう。エイリアンが拠点に選ぶ程の土地なのだ。
内部が凍結しないよう機体に保温装置を仕込まなければいけない地域とは大違いである。
『……そう言えば、エイリアンの反応があったとは聞いたけど、エイリアンと交戦があったなんて報告は全然ないよね。』
エイリアンの反応があったというアナウンス以降、進展は何も知らされていていない。動きがあっても一部にしか公開されていないか、それか調査に向かった隊員が返り討ちにでも遭い消息を絶ったか。
倒したのなら既に全ヨルハに通達がある筈だ。長年アンドロイドが戦ってきた宿敵を打ち倒したなんて、これほど大きなニュースは他にないのだから。
故にエイリアンは存命である可能性が高い。末端の隊員が考察できるのはこの程度だ。
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