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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


『……ようやく始められるね。』
司令室で司令官に叱られ、端末越しで6Eに呆れられ、うっすら謹慎中の身であることに自覚を持ちながら部屋に戻った。
ベッドに座って端末を操り、先程確認した文章作成ツールを再度開く。
『まずは日誌を書く経緯を簡単に書こう。新しい義体になったら最後の更新の次の日くらいにしか感じないから、説明が必要だよ。』
「推奨:年月日の記載。日時が曖昧な場合は大まかな表現でいい」
『わかった。今日は何日?。』
11945年3月と打ちながら10Dが訊く。
「報告:本日は10D担当地区の地上時間で4月4日」
『えっ、そんなに経ってるの?。駅廃墟に居たときはまだ3月だったのに……。』
どうやら運び込まれてからも暫く寝たままだったらしい。駅廃墟で気を失ったのは3月の終わり頃だった。
今日の日付と共に、更新不可のことを書く。
次の自分がメールBOXを確認する確証がなかった為、ベッドの足側の壁に日誌の存在と専用のファイルを開くためのパスワードを小さく彫った。この方向なら他の人には気付かれにくい。
それから数時間掛け日誌を書きまとめ、メールBOXに送信した。
「推奨:正しく送られているかの確認」
『そうだね。メールBOXを見に行ってみよう。』
部屋を出てすぐのアクセスポイントに向かう。
メールBOXを操作し、自分用のフォルダを開いた。確かに先程綴った文が指定の所に入っている。
『これでいつ壊れても安心だね。』
「非難:油断禁物。10Dの義体が減ることに変わりはない」
『分かってるよ。なるべく気を付けるから。』
パスワードの設定を見直してからメールBOXを閉じる。
不安を全て解消出来たような顔をして、10Dは軽い足取りでアクセスポイントの前から離れた。







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