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よるがあけるよ

第7章 大規模侵攻作戦


ようやく我に返り斧をかまえる機械生命体の様子を歯牙にもかけず、一跳びで肩に飛び乗ると持ち替えた短剣で躊躇なく頭をめった刺しにする。
勢いをつけて素早く何度も頭部に刃を突き立てる。サビだらけの金属板がへこみ、破れて砕ける感触は10Dにとっては気持ちの良いものだった。
機械生命体の首周りを両足でホールドし、頭部を抱き抱えるように身体に密着させながら何度も穴を空けていく。
頭部で好き勝手にしているアンドロイドを引き剥がすために機械生命体が必死で腕を伸ばそうと、振り落とすために鉄の身を捩ろうと、10Dは嘲笑いながら躱したりしがみついたりなどして遣り過ごした。
機械生命体の攻撃が緩むたびにクスクス、クスクスと愉快そうに肩を震わせながら破壊行為を再開する。
『ふふ……穴がたくさん空いたよ。もっと空けようね。もうすぐ、もうすぐで顔がなくなるよ。』
10Dは興奮した様子で更に激しく短剣を抜き差しした。
無数の穴があき耐久性のなくなった機械生命体の頭の外装が一気に崩れていく。
ひしゃげ果てた顔の部分は抉り取られたかのように1つの大きな穴となり、すっかり中の構造が丸見えになった。
頭部に集中攻撃を食らった機械生命体は視覚を既に失っている様子で、足をふらつかせながら闇雲に腕を振り回している。
もはや攻撃とも呼べなくなった動きを10Dは容易く避け、晒された内部の奥深くに刃を差し込んだ。
体重をのせ突き立てると、回路が爆ぜる音と金属の軋む音が瞭然とセンサーに伝わった。
柄がぶつかるところまで入れてから短剣を引き抜いて、すぐさま機械生命体から飛び降りる。
少しの間のあと機械生命体の稼働音が低減していき、ついには地面に倒れて動かなくなった。
『はぁ……気晴らしにはなったかな。』
完全に停止した機械生命体のボディを軽く蹴りながら10Dが呟く。軽いため息を1つ吐くと、そのまま何処へともなく歩きだした。




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