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よるがあけるよ

第7章 大規模侵攻作戦


14Oは最後まで読み進め、1番下の文字化けした項に辿り着いた。途切れ途切れで何が書いてあるのか分かりづらい。
日付を見ると、6■25日とあった。幸い数字ではない箇所が欠けているため今月の25日だと分かる。だけど、この日付はおかしい。どう考えても有り得ないタイミングだ。
10Dがロストしたのは6月18日。10Dが再起動したのは25日。そして今日が26日。
新しい10Dが悪戯で付け足した可能性もあるけれど、昨日はメンテナンスで一日中ベッドに横たわっていたはずだ。記録に間違いがなければそんな悪戯をする隙はない。
だったらこれは誰が書いたことになるのだろうか。
「10Dが、生きてる……?」
戸惑いながらも微かな希望が芽生え、14Oは文字化けしている文章を必死に読み解こうとした。後半は全部潰れてしまっているが、前半ならロスト直前の10Dの状況からどうにか当てはめることが出来そうだ。


6月25日:まだ当機は生存している。このメッセージを閲覧した者は、廃墟都市の北側に位置する崖の下に当機が居ることを14Oか司令官に伝えてほしい。機体は無事だが帰還するすべが無く困っている。至急、救援要請を■■■■■
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解読できたのはここまでだった。当てはめた言葉が合っていれば、救助を求めている文章になる。
願ってもいない、前の10Dがまだ活動している何よりもの証拠だ。
「大変……! 早く、早く私が助けてあげなきゃ……」
10Dが危機的状況にある焦りと、助かる可能性が高くなった喜びが混ざりあう複雑な表情で14Oが声を上げた。
こうしてはいられない、とアクセスポイントから急いで司令室へ走る。入り口からリフトを乗り越えて司令官の立つ下の層まで飛び降りた。
「……司令官! お話しがあります!」
着地から体勢を整える余裕もなく転がるように向かってきた14Oを司令官が何事かと目を向ける。
「どうした。14O」
「10Dがっ、10Dがまだ生きています! 手遅れになる前に救援部隊の要請をお願いします……!」
「落ち着け、10Dはさっきバンカーを出たばかりだろう。何をそんなに慌てているんだ?」
珍しく声を荒げてものを言う14Oを司令官が諌める。
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