第8章 覚悟
「お父様、私を気遣っていただいてありがとうございます。お父様の気持ちを汲み取って私は縁を切るべきなのでしょう。ですが。
黒羽丸は私のそばにいたいと言ってくれました。私も黒羽丸の隣に立っていたい。例えその場所が火の粉の降りかかる場所でも、私は胸を張って彼の隣に立っていたい」
「その覚悟があると?」
「はい……だって私は、彼を愛しているから」
彼の言葉に嘘偽りないように、私も黒羽丸のことに嘘偽りを言うつもりなんてない。
愛する気持ちがあれば何でもできる、なんて古臭いけど、私も愛があれば怖いものなんてないと確信ができてしまう。
「……わたくしは、ユリ殿を見くびっていたようですな」
あっ今の笑った顔黒羽丸にそっくり。どこまでも親子なんだなぁとしみじみ思ってしまう。
「おいバカ息子共、そんなところで盗み聞きしていないで入ってこい!」
3人とも気まずそうに入ってきた。
全部、聞かれてた?
「えっ恥ずかしい……」
「いやぁユリさんって結構情熱的っていうか、なぁささ美」
「黒羽丸もそういう真っ直ぐなところに惚れたんだろう」
「トサカ丸、ささ美、黙れ!」
黒羽丸顔真っ赤。黒羽丸ってすぐに顔赤くなるよね。
「ユリ殿、真面目しか取得のない至らない息子でありますが、これからも宜しくお願いします」
「いえ、こちらこそ不束者ですが宜しくお願いします」