第8章 覚悟
「……ユリさんって兄貴と結婚すんのか?」
「ばっ! トサカ丸何を言って!」
「確かに今のやりとりはいかにも嫁入りの娘と婿の父親だったな」
「ささ美まで!」
「むっユリ殿は嫁ぎに来たわけではなかったのか?」
「えっ!」
「いやお義父様とも呼ばれてしまったのでそう思ったのじゃが」
「いえいえ! 黒羽丸とは結婚の話は1度もしていません!」
「なんと! こりゃ黒羽丸! こんな素敵な娘さん捕まえておいて結婚の話すらしてないとは! さては『ぷろぽーず』もしておらんな!?」
「親父まで何言ってっ! 結婚はもう少し経ってからするつもりだったのに!」
「結婚はする気なんだな」
「何だかんだ愛しているんだろう」
「黒羽丸……!」
「あっいや……。ユリさん、その、二週間くらい時間を、下さい」
「あっえっと……いつでも、待ってます」
それから黒羽丸は奴良組で暮らしつつ私の家に通い、順調に記憶を取り戻し、10月の下旬、私達は祝言を迎えた。
式は奴良組で執り行ってもらい盛大に盛り上がった。何が凄いって人間が私と若菜さん以外全くいないのである。