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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第1章 監獄への招待



「変動座標点0号へ、レイシフトするらしいな。」
「さすがアヴェンジャー、耳が早いね。」
「気を付けろ。」
「え?」
 どういうことだろう。
「今回の調査の内容は、俺も耳に挟んだ。あの自称天才は、危険性は低いと説明していたが、何やら妙な予感がしてな。」
「え、えっと……。」
 ダ・ヴィンチちゃんが、観測を誤ったとかいうことだろうか。それは、今までの経験で言えば、可能性は低いと思う。

「フン。いや、ただの勘だ。気にするな。お前には、お前の選んだ5騎のサーヴァントが同行するのだろう? なら、問題はあるまい。……ただ、気を引き締めていけ。それだけだ。」
 そう言うと、アヴェンジャーはそのまま、私の向かう方向と反対側へ歩いて行った。

「待って。」
 私は、理由もわからないままに、アヴェンジャーを呼び止めていた。呼び止める理由も、無いのに。

「何だ?」
 アヴェンジャーは、足を止めてこちらを振り返ってくれた。この世のものではない、黄金の瞳が、私をじっと見つめている。私はそれだけで、息が止まりそうな気がしたけれど、何とか次の言葉を絞り出す。呼び止めるに値する理由も無いのに、呼び止めたのだから、随分とおかしな話なのだけれど。

「ねぇ、……えっと、その……、アヴェンジャーも、一緒に来て!」

 私の口は、勝手にそんなことを口走っていた。そんな予定なんて、全く無かったのに。そもそも今から出発しようというときになって、新たに同行を求めるなんて言うこと自体、計画性に欠ける行動だ。

「……クハハ! 良いだろう! お前が望むのであれば、如何なる戦場であろうと、力を振るうことも吝(やぶさ)かではない!」
 それでもアヴェンジャーは、私に応えてくれた。

「ありがとう、アヴェンジャー。」
「フン、当然だ。俺は、お前の“導き手”だからな。」
 語気こそ荒いが、その瞳は優しかった。



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