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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第21章 第3部 Ⅶ



 カルデアに帰還してすぐに、私は緊急のメディカルチェックを受けた。メディカルチェックの間、私は向こうの世界のことをぼんやりと考えていた。アヴェンジャーが聖杯を回収したのだから、あの世界はほどなくして崩壊して、無かったことになるのだろう。結局、あの女の子たちのことは、助けられなかった。あの子たちは、普通に生きていて、それなのに酷いメに遭った。あの、梅毒に侵されてすし詰めにされていた女性たちもだ。けれど報われることなく、世界と共に消滅する。私は、それを何度も実感しているけれど、その度にやるせない気持ちになるしかない。そうこう考えているうちに、メディカルチェックは問題なく終了した。私にしては珍しく、一睡もしなかった。
 すぐに会いに来てくれたマシュから、ことの経緯を教えてもらい、心配をかけてすまなかったと伝えた。それから、必死になって私を探してくれたこと、見つけてくれたことの感謝を伝えた。マシュは、半泣きになりながらも、笑顔で私を抱きしめてくれた。その体温が、これ以上ないくらいには心地良かった。
 メディカルチェックの結果は「異常なし」だった。魂だけのレイシフトだったから、肉体的な損傷は全く無いし、実際問題、気分が悪いとかいうことも無い。私の肉体が、カルデアの医療スタッフによって徹底的に管理されていたからだろう。令呪だけは、3画全てが消費された状態だったけれど。



――――――でも、アヴェンジャーの姿が、ない。



 近くにいたスタッフへ尋ねてみても、彼の行方は分からなかった。あのボロボロの霊基のまま、長く耐えられるとは思わない。カルデアへ戻れば、サーヴァントに対して魔力が自動供給されるが、それだけだ。霊基の欠損に対しては、専門的で高度なオペレーションが必要となるだろう。

 ダ・ヴィンチちゃんに尋ねても、彼の行方は知れなかった。カルデアへ帰還して、ダ・ヴィンチちゃんへ聖杯を渡してすぐに、ふらりと姿を消してしまったのだという。


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