第13章 第2部 Ⅲ
私の右手には、令呪が1画だって残っていない。ああ、今回も、私は皆を護りきれなかったのだ。その不甲斐無さに、胸が締め付けられる。
『ハイ! お疲れちゃ~ん! 何はともあれ、これで、魔力濃度の異常も、完全になくなった! パーフェクトだ! さすがはマスターだ! もう、周囲に敵性存在はゼロ! よく頑張ったじゃないか!』
ダ・ヴィンチちゃんが、通信越しに私を励ましてくれるのが、有り難くもあり、切なくもあった。
「これで、事態は完全解決です。ここは喜ぶべきところですよ、マスター。」
天草も、優しい声で慰めてくれる。
「ううん。皆、今回も、本当にありがとう……。」
この場にはいないジャンヌのことも心に浮かべて、私はひとこと、そう返した。