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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第11章 第2部 Ⅰ



「センパイ、おはようございます。よく眠れましたか?」
「おはよう、マシュ。」
「ああ、おはよう。急に呼び出して、すまないね。でも、助かるよ。」
 そう言っていつも通り、微笑みを浮かべるのは、カルデアの司令官代理、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんだ。
「いえ、大丈夫です―――――って、ん?」
「何よ。」
 そう言って、色素の薄い瞳をこちらに向けたのは、アヴェンジャー/ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕だった。何やら話があると呼ばれたけれど、彼女にも関係がある話なのだろうか。
「ううん、何もないよ。ただ、作戦室に来るなんて、珍しいと思ったから。」
「そう。で? 司令官代理。マスターが来たのだから、早く詳しい説明をしてください。」
 ジャンヌはそう言って、目の前のダ・ヴインチちゃんを真っ直ぐに見つめ直した。
「うん。そうだね。実は、フランスに、謎の魔力の集まりのようなものが観測されたんだよ。」
 ダ・ヴィンチちゃんは、その美しい顔を崩すことなく、それでも瞳だけを真剣なものに変えて、話し始めた。
「フランス?」
 フランスと言えば、特異点となった場所だ。忘れる筈もない。私は以前に、1431年のフランスへレイシフトして、聖杯回収を行ったのだから。
「ってコトは、また1400年代のフランスに、レイシフトですか?」
「いや、今回は、年代が違う。今回は、そうだねぇ。マスターに分かり易いように言うなら、ナポレオンが百日政治を行ってから、およそ10年が経ったあたりのフランスだよ。」
「えっと、百日政治……、ナポレオン……。」
 もちろん、ナポレオンという名前ぐらいは知っているが、ダ・ヴィンチちゃんの気遣いも空しく、具体的な年代までは浮かばない。
「センパイ。ナポレオンによる百日政治の開始は、1815年3月3日だったはずです。つまり、1825年頃が、今回異常が観測された年代となるわけですね。」
「あ、そうなんだ。マシュはすごいね。いつもありがとう。」
 相変わらず、マシュは博識だ。
「い、いえ。そんなことはないですよ? 私こそ、いつもセンパイの優しさと勇気に助けられてばかりなので、その、少しでもお役に立てれば、嬉しいです。それに、今回も私は、ご一緒できそうにありませんから……。」
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