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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第10章 補完&後日談


☆☆☆


「それにしても、どうやって、あの状況を切り抜けたの?」
 少女は、首を傾げながら、男へと問い掛けた。ぽすんと、ベッドへと腰を下ろす。

 ここは、少女がカルデアから割り当てられた自室、通称マイルームだ。少女と男は、そこにいる。

「お前が撒いた種が花を咲かせた。その結果、あの天才とお前の後輩が強制レイシフト措置を行うことができた。それだけの話だ。」
 少女のマイルーム内で、男は立ったまま返事をする。
「それだけじゃない、でしょう? だって、いくらカルデアの技術があったとしても、流石に無傷はあり得ないと思うし……。」
「まぁ、宝具は使用したがな。」
「やっぱり……。」
 相当な無茶をしてくれたのだと、少女は改めて認識する。ごめんなさい―――――少女がそう言いかけたのと同時に、男は口を開いた。
「俺“達”の勝利だ、共犯者よ。」
「―――――!」
 その言葉に、少女は目を見開いて顔を上げる。
 だから、お前が気にする必要など微塵も無いのだ、―――――男の眼は、そう告げていた。そもそも、男は少女に、謝罪や感謝をしてほしい等とは、微塵も思ってはいない。ただ、少女がその魂の在り方を変えることなく在ってほしいと、できることならばその傍らに在りたいと願うのみである。男にしてみれば、サーヴァント―――――それもアヴェンジャーである自身に出来ることなど、決して多くはないと理解している。それでも、共に在ることで、僅かながらでも、少女に対して返せるものがあると知っているからこそ、男は自らの意志で、彼女と共に在る。少なくとも、巌窟王/エドモン・ダンテスは、藤丸立香だからこそ、以前のマスターを裏切ってまで、彼女と共に在ることを選んだ。普段の契約形態としては、カルデアとの契約ということになっているが、今回のレイシフトでは、少女と直接の契約を結んだ。それは、男にとって、願ってもみない幸運であったとすら言える。魔力供給量・魔力の質ともに、お世辞にも好条件とは言えないものだったが、それを上回るものが、確かに在ったのだ。その温度を、感触を思い出すだけで、男は満ち足りたような心地がした。『復讐者』の身分で何を考えているのかと、どこか頭の片隅で自嘲しながら。


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