第2章 合同合宿1
合同合宿初日。
バスで山梨県まで向かっている。
俺達は朝、というより深夜の3時からバスに乗っているため
ほぼみんなバスの中で爆睡している。
唯一起きているのは俺と、隣に座っている伊月先輩だけだ。
「月希は寝なくていいのか?あっちに着いたらすぐに練習すると思うぞ」
『寝たいのは山々なんですけど、誰かがダジャレ言いまくるから…』
「あぁ悪い悪い。つい止まらなくて」
同級生だったらお構い無しに寝るが、流石に先輩のダジャレを聞きながら寝るのは失礼。
ふわっと欠伸が出る。確かにずっと起きていた気がする。
「もし眠かったら俺の肩貸すぞ」
なんて伊月先輩が言うから
『じゃあ借りていいですか?』
って冗談で返してみた。
伊月side
隣で欠伸をしている月希に冗談交じりで
「俺の肩貸すぞ」
なんて言ってみた。
オレはもちろん「そんな冗談言わないでくださいよ」って返ってくると思った。
そうしたらなんて言ったと思う?『じゃあ借りていいですか?』って言ったんだぞ?
ダジャレで返そうと思ったが、咄嗟に出てくるわけなかった。
その代わりに「あぁいいぞ」って言ってた。
あっちも少し驚いていたが、オレの肩に頭を置いてすぐに寝た。
耳元ですうすうと寝息が聞こえる。よっぽど疲れてたんだな。
俺と同じ黒髪で、とてもツヤツヤしてて、まるで女の子みたいだ。
まつ毛も長いし、鼻筋もいい。
ふと胸元に目線を移すと、少しだけ中が見える。
いかんいかん、月希は男だ。これが本当に女の子だったら確実に襲っていただろう。
なんて頭では思っているが、手は月希の肩にあった。
少しこちらへ抱き寄せると『んっ』と声を出した。
……完全にアウトだ。