第1章 〖 青葉城西 〗赤い薔薇 〖 及川徹 〗
こっちをちらっと見て。
私の顔色を伺うように覗き込んだ。
機嫌が悪いどころか最高だ。
唇をん、と歯に巻き込ませ、閉じながら顔を真っ赤にしてる。
その顔を見ると徹はほっとしたようで
口を離した。
私は蕩けた顔で徹の頭を撫でる。
サラサラでもゴワゴワでもないフワフワの髪の毛。すごく気持ちがいい。
「ね…、指入れてもいい?」
なんて好奇心を抱く子供みたいに言ってくる。
これは恒例で、少しにこりとした顔で言ってくる。
でも特有の色気が混じって変な感じだけど。
もちろん了承する。
了承すれば徹は少し短い鼻歌を歌いながら花弁に触れた。
つつ、となぞるその指にぞわりとしてしまう。
ぬち、ッという音が鳴る。凄く恥ずかしくなる。
両手で自分の顔を隠して耳を真っ赤にして。
1本だけなのに興奮してしまう。