第1章 〖 青葉城西 〗赤い薔薇 〖 及川徹 〗
徹のサーブを受ける。
腕が吹っ飛んでしまいそうで、逃げたくなるけど
でも。大丈夫。
『っ!!!』
くう、と歯を食いしばってボールを上げた。
奏が待ってる。それを岩泉が撃ち落とす。
ああ、なんて綺麗。
腕がじんじんして真っ赤になってるけど
そんな事気にしないで、あの2人のコンビネーションに夢中になってる。
「香!!大丈夫!?」
随分と気にしていたようで汗をだらだら流しながら駆け寄ってくる。
『ん、大丈夫。』
彼の手を取りながら立ち上がり、拳を合わせるあの2人を見てる。
羨ましいなんて思わない、ただ、綺麗だと思った。
うん、でも、私たちには私たちなりの動き方があるんだから。
『徹。ね、』
珍しく徹のトスを撃ちたくなって、ちょっとだけ服を引っ張ってみる。
予想外といえば予想外、徹らしいと言えば徹らしい反応が返ってきた。