第1章 promise
大学を卒業し営業職に付いた。
毎日のように新たな出会いがあり仕事は充実していたが、プライベートでは一向に新たな出会いを得ることはなく1年が過ぎた。
今日は新人研修を終えた新入社員が初めて出社してくる。
新人には2年目の俺たちが一人ずつ付いて仕事を教えるのがうちの会社の方針だ。
新人を見て、自分を見直せってことらしい。
「智!」
会社の入口で呼び止められ振り向くと同期の二宮がいた。
「お~、ニノ、おはよ」
「おはよう」
「今日から新人来るねぇ」
「なに、ニノ楽しみなの?」
「そりゃそうでしょ
やっと一番下から抜けられるんだもん
新人入ったらパシりにしないと」
「はぁ、ニノに付く奴が気の毒だ…」
「失礼だな
お前の下に付く奴だって気の毒だよ」
「なんでだよ?」
「やる気がないのに営業の成績はいいわ、男女共にモテるのに、ま~ったく相手にしないわで、頑張るのがバカらしくなる」
「やる気がないって…」
ニノは見た目は天使なのに、中身が悪魔と言うか、とにかくギャップが凄い…
笑顔を見せながら毒を吐く。
それなのに営業の成績はいいんだから、人の心を掴むのが上手いんだろうなぁ。
これ以上話してもろくなことがない、話題変えよ…
「今年もうちの課は二人なんだろ?」
「あぁ、そうだよ
二人ともだいぶ優秀でイケメンらしいぜ?」
「ふーん」
ニノは情報を仕入れるのも速いし、どこからそんなネタ仕入れるんだ?って内容のモノまで知っている。
「ふーんって…ほんと人に興味を持たない奴だな」
「興味がないんじゃないよ
会えばわかるだろ?
先入観を持ちたくないだけ」
「なるほどね…」