第14章 For your happiness
マンションに戻り玄関で靴を脱いだ瞬間身体がふわりと浮いた。
「え、まさ…」
「黙ってて、舌噛むよ」
雅紀に抱きかかえられ寝室へと運ばれる。
ポスンとベッドに降ろされるとそのまま雅紀が覆い被さってきた。
「ちょ、まって…シャワーぐらいしようよ」
「やだ、待てない…今日はこのままする…」
「そんな…」
なんとか雅紀の腕から抜け出ようとするんだけど両手をベッドに押さえつけられ身動きがとれなかった。
雅紀の唇が何度か俺の唇に吸いつくと徐々に下に下りていく。首元に顔を埋められ強目に吸い付く。
「駄目だよ雅紀、跡付けないで」
「止めて欲しいなら自分で振りほどきなよ、さっき言ってたよね?男に襲われることなんてないって…自分で証明して見せて」
雅紀はニコッと笑うと今度は俺の首筋に吸い付いた。
「やめろってばっ」
「だから自分で逃げなって」
笑顔なんだけど目が笑ってない…言葉は突き放すように冷たいし…
なんとか抜け出そうと体中に力入れてるのにビクともしなくて、ジタバタもがいて力尽きた。
「まさ、き…お願い、や、めて…」
「わかった?和さんてほんとに非力なんだよ?本気で狙われたらあっという間にやられちゃうからね?」
「わかったから…ほんとに気をつけるから…」
「わかって貰えて良かった、やっぱり経験してみないとね?」
雅紀の瞳に優しい光が戻ると俺の頭を何度も撫でてくれた。