第14章 For your happiness
「ごめん、雅紀…」
申し訳なくて俯いてしまった。
「どうして謝るの?」
「だって雅紀がクリスマスをそんな風に考えてると思ってなくて、俺雅紀の誕生日さえ祝ってあげられればいいと思ってたから…ほんとだったら2日分お祝いしなくちゃいけないのに」
「2日分って…和さんってほんと面白い考え方するよね?いいんだよ1日で…世間の人たちが幸せな時に俺も幸せなんだからそれで十分」
「でもさ…」
「ふふっ、そんなに気にするなら今日1日で俺のこと倍幸せにして?」
「倍?」
「そう、倍…」
どうやったら雅紀のこと『倍』幸せに出来る?雅紀を見上げそう聞こうとしたら雅紀の顔が近づいて来ていて…雅紀の唇が俺の唇を塞いだ。
「んっ」
雅紀は少し離れると唇が触れそうな距離で囁き掛ける。
「今のはクリスマスの分…次は誕生日の分ね…」
再び塞がれる唇…昼間我慢した熱が再燃し身体中を駆け巡る。外なのに…他に大勢の人がいるのはわかっているのに…止められなくて…俺は雅紀の首に腕を回した。
「はぁ…」
漸く離れた俺たち…それでもまだ足りなくて雅紀のことを見つめた。
「和さん帰ろ?これ以上はここでは無理だから…」
「…うん」
火照る身体を早く雅紀に委ねたい…
俺たちは家路を急いだ。