第14章 For your happiness
食事を終えるとライトアップされてる街並みを腕を組みながら歩いた。
「綺麗だね」
「今日はクリスマスイブだからね、みんな幸せそうだし」
あちらこちらで同じように腕を組みイルミネーションを眺めるカップル。
「赤の他人の誕生日なのにね…なんでクリスマスってみんな騒ぐんだろ」
「いいんじゃない?理由なんてなんだって…恋人同士が愛を確かめ会える日ならさ」
「そういうもんかな?」
「そういうもんでしょ…でも和さんらしいな、クリスマスを『赤の他人の誕生日』って冷めた見方するの」
「別に冷めた目で見てる訳じゃないけど不思議だと思っただけ…クリスチャンでもないのにクリスマスはお祝いするからさ」
「ははっ、俺初めてかもクリスマスイブが誕生日で良かったって思ったの」
「え?なんで?」
「だって世の中の恋人たちが愛し合ってるときに『俺はクリスチャンじゃないから関係ない』って言われたら寂しいでしょ?だけど今日は俺の誕生日だから和さんが一緒にいてお祝いしてくれてる…幸せを感じてる人が一年で一番多い日にひとりでなんて居たくないし」
「ん~、でも雅紀なら何らかの理由を付けて会いに来そうだけど」
「そりゃあね?無理にでも約束はするだろうけど、でも今日は和さんから誘ってくれて和さんがコーディネートしてくれた…だから誕生日が今日でよかったよ」
雅紀が嬉しそうに微笑んでくれたんだけど、俺は少し反省した。だって、俺と付き合ってると恋人たちが楽しむイベントの回数が減ってしまってるんじゃないかと思って…
現に誕生日とクリスマスが一緒に来てしまう雅紀にとったらイベントがひとつ少ないわけだし…これが他の人だったら何かしらの方法をとって2日間お祝いしたりするんだろうな…例えば明日クリスマスのお祝いするとか…でも俺はそこまで考えなかった。