第14章 For your happiness
なんとか気を落ち着かせ、雅紀の欲しがった犬のぬいぐるみを無事ゲット。
「はい、雅紀」
雅紀の前に差し出すと雅紀は嬉しそうにそれを受け取った。
「ありがと和さん」
「雅紀が飼ってた犬ってチワワなの?」
「ううん、違うよ?なんで?」
「だってそれチワワだよね?」
「そうだよ?さっき俺のこと見上げた和さんの顔、瞳がうるうるしててチワワみたいで可愛いなぁ、って思ったらチワワがいたから丁度いいと思って」
朝は天使で今度はチワワ?雅紀にとって俺ってそんな可愛いイメージなんだ…前から思ってたけど雅紀の感覚って可笑しいんじゃないか?でも翔ちゃんのこともちゃんと可愛いって言うしなぁ…
「和さんそろそろ行った方がいい?」
「あ、ほんとだ…行こう雅紀」
予約していたイタリアンのお店に着くとまた雅紀が驚いた。
「こんなおしゃれな店予約したの?」
「そんな驚くほどの店じゃないだろ?」
「でも和さんのイメージじゃない…」
「悪かったないつも出前で…俺だって得意先の付き合いでこういう店来たりするよ」
「俺が和さんに付いてた頃はなかったよ?」
「ん?あぁ…お前と一緒にはないな、個人的に誘われたんだよ」
「個人的に?そんな話聞いたことないけど」
雅紀の声が少し低くなったような…しかも笑顔も消えた。
「そんなこと話さなかったくらいどうってことないだろ?」
「ふ~ん、まぁいっかぁ…後でゆ~っくり聞かせて貰うよその話」
雅紀がニコッと笑ったけど背筋がゾクッとしたのはなんでだろ?