第14章 For your happiness
雅紀のコートをぎゅっと掴むと雅紀が俺の顔を覗きこんだ。
「和さん…そんな顔されたら今すぐ抱いてあげたくなっちゃうんだけど、今時間ないからごめんね」
雅紀の困り顔が見えた。
「違っ!そんなつもりないから!」
雅紀から慌てて離れUFOキャッチャーの方に向き直った。
「そっか、残念…」
雅紀は後ろからそっと俺のことを抱きしめると肩に顎をのせた。
「俺のこと欲しくなったのかと思ったのに」
耳元でそう囁くと俺の頬にキスをした…
「な、なにしてんだよっ…」
「ふふっ、和さんか~わいい、顔真っ赤だよ?」
そんなこと言われなくたってわかってる、全身熱くなってるんだから顔だって真っ赤だろうさ。
「ほら和さん、早く取ってよ…あ、俺あれがいい」
俺から体を離すと今までの会話がなかったかのように爽やかな笑顔を見せ俺に催促をする…なんでこいつはこんなに余裕なんだ?
雅紀は俺が全て、って言う…雅紀に愛されてるのもわかる、でも最近俺の方が雅紀のこと好きなんじゃないかって思うこと増えてきた。
休日も前はゲームがやりたくて家にいたけど今は雅紀と一緒にいたくて家でゲームをしてるんじゃないかと思うくらい…悔しいから雅紀には言わないけど。
今日のことだってそうだよ、女装までしてさ…こんなに人の為にあれこれ考えたことないんだから。
それなのに雅紀は俺のこと弄ぶようにあんなこと平気でするんだ…俺の疼き始めたこの身体どうしてくれるんだよ、バカ雅紀!